■ 米軍がイラクを撤退しない本当の理由
2007年01月05日(金)
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| 年末のドサクサ紛れにフセイン元大統領を死刑執行したイラク政府だが当然ながら裏で米国政府がコントロールしていることは間違いない。判決によると82年中部ドジャイ村で起きた元大統領への暗殺未遂に関し、徹底捜査を命令し同村のシーア派住民148人を虐殺した罪だという。元大統領は合法だったと主張。イラク侵攻の大義名分もなく多くのイラク市民を殺傷した米・英軍の罪はまったく問われないがこれを理不尽とは言わないのか? あと2年で退任が決まっているブッシュ大統領だが「イラク政策は失敗」という批判の声が高まっている。だからといってイラクの米軍を撤退させるかと思えばそれとは別にさらに増強するという。対イラク新戦略が来週にも発表されるそうだがブッシュの言動に惑わされてはならない。イラクは完全に米国に乗っ取られた、ということを私たちはしっかりと認識すべきなのだ。その好例がバグダッドの米国大使館の規模の大きさとイラク全土にある米軍の14の基地の存在だ。 ここで米国がイラクを「占領」した主な理由を挙げておこう。 最も重要なことは「ドル防衛」である。フセイン元大統領がドイツとフランスに対してユーロ決済を行おうとしたことに対して危機感を覚えた米国(ロックフェラーを筆頭とする“奥の院”)がそれを阻止しようとした。産油国イランとベネズエラに対しても同様の圧力をかけ続けている。 「占領」の具体的手段は下記の通りだ。これらはあくまでも目に見えるものだが何度も言うように最も重要なことは「ドル防衛」である、ということだ。つまり「通貨戦争」こそが本質なのであります。 (1)駐サウジアラビアの米軍基地をイラクに移転する。移転しないとアルカイダなどのアラブ過激派をはじめアラブ諸国による抵抗が激しくなるから。オサマ・ビンラディンは9.11アタックが同様の理由である、と声明を発表している。ただし、この信憑性は薄い。 (2)イラクを占領し米軍の基地を作りイラン、シリアに睨みを利かせる。あるいはいつでも侵攻を可能にする。ロシアの南下を防ぐ。 (3)地下資源(石油)の確保と石油国際価格のコントロール (4)軍需産業の恒常的利益の確保。
★大儲けの石油メジャーとチェイニー副大統領 果たしてブッシュは失敗したんだろーか?答えはいたって簡単、No!である。日本のメディアは敗戦処理が必要と米国政府の広報部的報道を行っているけれどこれは真相から目を覆うものだ。石油メジャーの収益をみればいかに彼らがイラク戦争で儲けたかが分かる。エクソン一社だけでも莫大な利益だ。ブログ「暗いニュースリンク」から一部引用する。 「イラク侵攻から3年以上経過して、石油業界の好景気は今でも天井知らずだ。以下の最新売り上げ報告を見てくれ: ・エクソン社の本年度第二四半期(2006年4月1日から6月末までの3ヶ月間)純利益は103億6,000万ドル(約1兆2,162億8,524万円)で、前年同期比36%アップの急上昇。エクソン社は世界企業史上最高額の純利益記録を2005年第4四半期に更新したが(107億ドル1,000万ドル)、今年はさらに記録更新しそうな勢いだ。(中略) ・イラク復興事業を請け負ったチェイニー米副大統領の古巣、ハリバートン社は未曾有の好景気だ。チェイニーがホワイトハウス入りしてから、同社の公共事業受注額は6倍に増加して、チェイニー氏が保有する同社のストックオプション評価額は2004年だけで30倍以上も上昇した」 「暗いニュースリンク」: Robert O. Boorstin and Mirna Galic (09/20/2006) http://hiddennews.cocolog-nifty.com
★ 駐イラク米国大使館 バグダッドの米大使館の規模はモスクワに次ぐ規模だという。開設当時3000人(米国人は約1000人)の職員が現在は6000人と倍にふくれているらしい。専門家によれば...。 敷地の広さは100エーカー。平均的な米国大使館の10倍。国連の6倍以上。ローマのバチカン市国の領域に匹敵する。 国防総省はすでに10億ドルかそれ以上を費やして、地下壕など長期使用の基地に特有の施設を建設している。イラクにある幾つかの米軍基地は巨大なものだ。例えば、キャンプ・アナコンダ(バクダッドの北)は15平方マイルの敷地に2つのスイミング・プールと体育館、小型ゴルフ場、封切り上映館がある。米軍は14の永続基地建設を企んでいる。米軍はバグダッド、モスル、タジ、バラド、キルクーク、およびナシリヤ近郊、ティクリート近郊、ファルージャ近郊、アルビルとキルクークの中間点などにある旧イラク軍基地から出撃する計画。イラクで長期に軍事基地を維持することは、現在の兵力レベルの半分以下である5万人に兵力を削減するとしても、多額の予算項目となるだろう。ジョージ・ワシントン大学で安全保障政策研究所の所長をつとめるゴードン・アダムスは、年間費用は50億ドルないし70億ドルにのぼると見積もっている。
さてさて、みなさんはどう感じましたか?米軍がイラクから撤退しない理由が少しは分かったのではないだろうか。それでもナットクしかねるなら「戦争請負会社」P・W・シンガー著(NHK出版)の一読をおすすめする。2004年にはイラクに居る民間の軍事要員の数は2万人となり60を越える企業で働いているという。米国のみならず他国も参入しているから簡単に撤退など出来ないのだ。たとえ民主党のヒラリーが大統領になったとしても基本的な政策は変わらない、と見るべきだろう。巨大な影の権力“奥の院”の逆鱗に触れるならば命はないのだから。だれもが「第二のケネディ」にはなりたくないからね。
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