本音のコラム

■ 60秒サービス 2003年06月29日(日) 
とにかく"早さが勝負"ということで「60秒サービスキャンペーン」を始めた大手ハンバーガー・チェーン。なんと、お客の目の前に砂時計を置き、砂が落ちるまでに商品の受け渡しを完了させるのだが、もし時間オーバーになればポテトのクーポン券を客に渡す。新宿で4月に先行実施したところ、好評だったということで今や全国の主要都市の124店舗で始めた。でも、ちょっと待ってほしい。本当に客が"味より早さ"に満足してるんだろーか。店から出てきた若いカップル客をつかまえて、その点を質してみた。選挙の際のマスメディアがよくやる「出口調査」というヤツだ。こんな返事が返ってきた。「何秒で出てくるかを予測して、近いほうが勝ち」と彼氏。「負けたら相手の分も支払わなければダメ」と彼女。正確を期すためにストップ・ウォッチつき腕時計を買ってしまったほどの熱の入れようなのだが2人は異口同音に「"早さ"なんて気にしないけれどズバリ当たった時の喜びがたまらない」という。「骨太の方針・第3弾」を自画自賛する小泉首相だが肝心の"景気浮揚"の具体的な時期については相変わらず不明。「今年の10月10日に株価がグーンと上がる。もし上がらなければ国民一人頭1000円、返金する」とでも宣言すれば総裁選は乗り切れるかもネ。
(東京新聞「本音のコラム #18」 2003/6/29)


■ パロディー中毒 2003年06月22日(日) 
「ウソも100回つけば真実になる」と豪語したのはナチスの宣伝相、ゲッペルス。「真実と信じ込まされている事も100回パロディーで嘲笑すればウソがばれる」と切り返す、諷刺党の党首、マッド・アマノ。フセイン大統領はどこに居るのか?に対して「世界は広いので探すのに骨が折れる」、大量破壊兵器はどこにあるのか?には「隠していることは間違いないからいずれ見つかるだろう」などとラムズフェルド国防長官はうそぶく。米軍の女性兵士奪還成功談は実はまったくの作り話だったという。捕虜ではなく当時、自動車事故で入院中の彼女は記憶喪失状態だから真実を語ることもできない。それをいいことにペンタゴンは彼女の救出劇をヒロイン仕立てにして米軍の侵攻の正当性を強調した。ウソこくのもいい加減にしなさい! もう、こうなったら"同時多発テロ"ならぬ"同時多発パロ"で嘘つきブッシュ一派をテッテー的に茶化しのめすしかない。辛口の政治コント集団、ザ・ニュースペーパーの公演「パロディー中毒」(6/27~29 新宿シアター・アプル)に諷刺党の党首として出演する。20ドル紙幣の裏面を折っていくと、あら不思議、ホワイトハウスが炎上する貿易センタービルに早変わり! このカラクリをステージで確認してみませんか? 詳しくは、http://www.dop.co.jp/
(東京新聞「本音のコラム #17」2003/6/22)


■ ビッグ・ブラザー賞 2003年06月15日(日) 
 パロディーでもって世の中の不条理をバッサバッサ斬りまくるコント集団「ザ・ニュースペーパー」の演出・出演による風変わりなイベントが今月29日に東京で開かれる。その名は「ビッグ・ブラザー・ジャパン2003」。個人のプライバシーを国家が管理するというジョージ・オウエルの小説『1984』に登場する支配者『ビッグブラザー』の名を取ったもので世界中の人権を抑圧する管理・監視システムを皮肉を込めて表彰し、世界的な反対運動を喚起しようというもの。つまり「ほめ殺し」あるいは「嘲笑」というパロディー手法で批判しようというわけなのだ。入場者には入り口で特殊感知機による"脳味噌チェック"が行われるかも知れない。この機械は何を考えているかを瞬時に察知するもので"個人の思想管理に役立つもの"と先進諸国が積極的に導入を検討しているというシロモノ。プライバシー侵害の先進国、イギリスから実行委員が来日し当日、エリザベス女王に扮して皮肉たっぷりの挨拶をする予定。ヒトに11ケタの暗証番号を勝手に振り分けてプライバシーの全てを管理していこうとする「住基ネット」が大賞にノミネートされているが戒名まで11ケタでは死んでも死にきれないよね。詳しくは、http://BigbrotherJapan.info/
(東京新聞「本音のコラム #16」 2003/6/15)


■ 政治風刺漫画 2003年06月08日(日) 
 20年ほど前にロサンゼルス・タイムス専属のエディトリアル・カーツーニスト、ポール・コンラッド氏に会って政治家の諷刺漫画について話を聞いたことがある。直接、クレームを付けてくる政事家はいないばかりかニクソン大統領などは皮肉られることをむしろ楽しんでいたらしい。「政治家より読者の目が恐い。"今日の漫画は面白くない"とか"この間の銃規制のやつはよくできていて笑ったよ"などと直裁な意見を寄せてくる」とコンラッド氏は語った。一昨年、休刊となったFOCUSの巻末に創刊以来、20年間、約1000回連載したパロディー「狂国の時代」だが、最多登場の中曽根康弘首相は2位の竹下登首相の30数回を大きく上回る60数回という圧倒的な記録を保持。田中角栄首相の18回などは足元にも及ばない。聞けば中曽根さんは皮肉られた作品をもらさず収集していたという。「諷刺を理解し楽しむ度量こそが大物政治家の証」というコンラッド氏の言葉を思い出した。拙著「新しい歴史狂科書」(新潮社)には石川さゆりさんの演歌をもじって"日本列島不沈空母"を唱えた中曽根さんが"津軽海峡封鎖景色"を歌っている。有事3法成立にハタと膝を打ちながら「北国の春」ならぬ「北朝鮮の春」を歌う中曽根元首相を思い浮かべた。
(東京新聞「本音のコラム #15」 2003/6/8)


■ 対話と圧力 2003年06月01日(日) 
「北朝鮮には"対話と圧力"が必要だ」とブッシュ大統領との会談で小泉首相が発した言葉だが何と"圧力"という文字を田中均外務審議官らが勝手に削除してしまった。このことを国会で野党から追及された首相は「別に問題ない」と日和見をきめこむ答弁をした。アメリカには「どうか睨みを効かしてください」と揉み手をしておきながら北朝鮮に対しては「脅しなんか考えていませんよ」ととぼける。"アメとムチ"を使い分けるのが外交かも知れないけれど首相そのものが"アメとムチ"を駆使している外務省に操られているんじゃないのか、との疑問が増大するばかりだ。ところで、"圧力"削除を知ったブッシュ大統領は小泉首相に恐らくこんな電話をしたんじゃないだろうか。「ヘイJUN、イラクと同様に北朝鮮に対しては武力で制裁を加えるべきだし、そのためなら自衛隊を派遣する用意がある、と見栄を切ったのはYouじゃなかったのか?"アメとムチ"は"アメリカとラチ"だ、と気の利いたジョークを発したのもYouだった。いずれにせよ外務省の"圧力"に屈しないことが先決だ」。
(東京新聞「本音のコラム #14」 2003/6/1)


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