本音のコラム

■ 恐怖のテロ予言 2004年05月30日(日) 
 今後数ヶ月以内に、米国でテロ攻撃が起きる可能性があるらしい。アシュクロフト米司法長官が7人のアルカイダの協力者の顔写真を発表したけれど、これはやたらテロの脅威を米国民に植え付ける狙いがあるように思えてならない。時期を同じくして日本でもアルカイダ系組織幹部の容疑者と接触があったとされる東京在住のバングラデシュ人が警察に逮捕された。善良な在日アラブ系の人たちがご難続きにならなければいいがとつくづく思う。この日米同時連携テロ発生警告発表と逮捕劇はどうもうさんくさい。ブッシュ大統領が11月の選挙に勝つためにはテロの恐怖を扇動し容疑逮捕するか、あるいはテロを自作自演するかの二つに一つではないか、という推測をする論評がインターネットに流れている。これによると大統領選たけなわの8月から9月にかけてサンフランシスコの金門橋が爆破されるかロサンゼルスのディズニーランドにサリンがまかれる、といった"恐怖のテロ予言"がまことしやかに語られているのだ。罪のない市民たちが巻き添えをくうことだけはごめんだ。イラク統治に打つ手がないブッシュ政権の支持率は下降し、このままでは民主党のケリー候補に負けるかもしれない。「アルカイダは危険だ。アルカイダは危険だ」と振れ回るホワイトハウスのやり方はどこか"狼少年"の話に似ている。
(東京新聞 朝刊5月30日(日)「本音のコラム」)


■ 恥を知れ、小泉! 2004年05月23日(日) 
 「笑いの前には誰もがひざまずく」とマイケル・ムーア監督がカンヌ映画祭で語ったが権力を批判する最大の武器はまさに"ユーモア"しかない、という彼一流のレトリックなのだ。ブッシュ大統領が下手なゴルフにうつつを抜かし、まともに仕事をしていない模様の映像とムーア監督自らが淡々と語るそのパロディー的表現が各国の記者たちの笑いを誘い、大いに受けたという。ところで3月からスタートさせた「ムーア監督に広島・長崎の原爆記録映画を製作してもらおう運動」の署名が約300名に達した。
500名をひとつの目途とし、ムーア監督に提案するつもりだが実は発起人の一人である前駐レバノン大使で「さらば小泉純一郎!」の著者、天木直人さんから「ムーア監督を日本に招待したい」という申し出があった。しかも、費用負担も辞さない、とおっしゃる。これはパロディーや冗談ではない、かなり本気なのだ。今、私はブッシュ大統領を茶化す本"President Booosh"の日米同時発売を目指して動いておりムーア監督に推薦文を依頼している矢先でもあり、映画「華氏911」の今夏の日本公開にあわせて来日が実現するよう働きかけるつもりだ。北朝鮮に対するコメ支援を拉致家族奪還の取引材料としたのでは?という疑念に対して「恥を知れ、小泉!」とムーア監督の一喝があるかも知れない。
(東京新聞「本音のコラム #65」 2004/5/23)


■ 田原さん、お前もか 2004年05月16日(日) 
 「辞めるのか辞めないのか、どっちなんですか!」とすごい剣幕で生出演の民主党代表、菅さんの責任を追及した(というより単なるバッシングにしか見えなかった)田原総一朗氏がなんと自身も国民年金未納兄弟の一人だったことが発覚、16日のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」で経緯を説明するという。同じく未納兄弟となったTBS「ニュース23」キャスターの筑紫哲也氏は14日からの番組出演を当面見合わせると発表。「人を攻撃する前に自分のことをよく調べるべきだった」と菅さんを批判した田原氏がどんな弁解をするかじつに興味のあるところだが、パロディー的に"予測弁明"をするとたぶん、こんなふうになるかも.....。
 「"寝耳に水"とはこのこと。未納が分かった時はえっ、私が?と思わずほっぺたをつねったくらい。手続きが非常に複雑なんです。要するに行政の不備ということだ。だから言って女房に釈明なんかさせませんが...。公明党の神崎さんは未納でもシャアシャアと『辞ないことが責任をとることだ』と言っている。イカンザキ、よくぞ言ってくれた、ですな。『未加入であって未納ではない』という小泉さんの弁解も見事の一言につき。たとえ筑紫さんが番組を降りても私は絶対に降りません。えっ、まだ降りてないの?」
(東京新聞「本音のコラム #64」 2004/5/16)


■ 菅さん、辞めるな! 2004年05月09日(日) 
 福田長官の突然の辞任で民主党代表の菅さんに批判が集中しつつある。結論から先に言えば菅さんは辞めるべきではない、ということだ。江角マキコさんを証人として国会に呼ぶべきだ、とか"未納3兄弟"と揶揄しつつ閣僚を批判した菅さんに対して「やりすぎだった」などと他人事のように批判する民主党の議員がいることは情けないが「私も未納でした」と告白した鳩山前代表や羽田氏が菅擁護をしないのは情けなさを通り越してあきれてしまう。「菅辞めろ」コールに同調する人たちよ、もうちょっと頭を冷やしなさい。そもそも福田長官は未納について「個人情報だから公開はしない」とうそぶき、しかも未納が長期間だったことが週刊誌により発覚した。もはや言い逃れは不可能、進退ここに極まれり、という苦境に陥った結果の"自爆テロ"辞任なのだ。菅さんは国民年金を支払い続けており大臣就任時の行政の手続きの不備から未納扱いとされてしまった。自分のことも知らずに他者を批判するのはけしからん、という声はいささか道理に欠けて感情論が強すぎるように思えてならない。さてさて、菅さん、どーする?ここは思い切って「国会議員年金の廃止」を民主党として国民に約束してみてはいかがなものか。
(東京新聞「本音のコラム #63」 2004/5/9)


■ 古舘式戦争生中継 2004年05月02日(日) 
 古舘さんの「報道ステーション」(テレビ朝日)の平均視聴率が久米さんの「ニュースステーション」よりやや低めなんだそうだ。かつて、プロレス実況中継で鳴らした古舘さんなのだからここはぜひとも「ファルージャの戦争生中継」をやってもらいたい。たとえばこんなふうに.....「ただいま私は日本人拘束のあったと思われる現場に立っています。米軍の攻撃は激しく暴力的であります。民間人に多数の死傷者が出ていますが病院には医者だけではなく治療薬も足りません。おっと、目の前に救急車が止まった。頭から出血の少年だ」ダダダダダッ「おっと、米軍狙撃兵の銃弾が救急車に命中した。頭上に目をやるとAH-1Wスーパーコブラ・ヘリコプターがホバーリングしつつヘルファイア・ミサイルを発射、おっと、民家に誤爆だ! なんていうこった、これはまるで"コブラ・ツイスト"、いやいや違う、"恐怖の脳天ビッグバン"だ。街は"生き地獄絵の展覧会"とでもいいましょうか、もはや筆舌につくしがたい状況が繰り広げられています。以上、誤爆の続くファルージャから古舘がお伝えしました。おっと、たった今、私は米軍に拘束されました! 明日はサダム・フセイン氏への直撃インタビューをお届けする予定です。ご期待ください」。
(東京新聞「本音のコラム #62」 2004/5/2)


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