■ 続・風刺漫画
2006年02月26日(日)
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風刺漫画をめぐって相変わらずイスラム教徒の激しい反発を呼んでいる。ところが我が国のメディアが肝心の漫画を掲載しないから実のところ「なぜ彼らがそんなに怒るのか?」と素朴な疑問を抱く人も少なくないはず。私は問題の12点の漫画をネットで検索して探し出した。どれも預言者を茶化しているのだが目くじらたてるほどのことはないと思った。強いて選べば、預言者の頭のターバンが爆発寸前のダイナマイトになっている漫画だろうか。ところが「風刺漫画騒動の真相」についての私の講演の会場からこれに異論を挟む声がかかった。「判断が甘い。怒りを買った漫画は別のものです」という忠告。あわててその漫画を見直してみると確かにイスラム教徒を逆なでするのに十分なものだった。自爆テロで命を落とした決死隊たちが天国で預言者に言葉をかけられるのだがその言葉が大問題。「止まれ、止まれ、ここには処女はいないのだ!」。 聖戦の戦士が死を賭したその目的は”性的欲求”だった、という茶化し。これは明らかに戦士と預言者を冒涜するものだ。単なるジョークとして見過ごせないのも無理はない。 ムハンマド風刺画の特集で41万部を売り切ったフランスの夕刊紙「ソワール」も抜け目がないが抗議を恐れて編集長を解任したのはいただけない。問題の漫画は期間限定で私のサイトに掲載中。
(東京新聞「本音のコラム」06.2.26)
★漫画に英語のキャプションがついている。 We ran out of Virgins!の"ran out of..."は(1)(人が)...を使い果たす、切らす、...がなくなる、尽きる(2)(人を)追い出す、追放する、(小学館英和中辞典)という意味の過去形。従って「処女はいないのだ!」は意訳であり直訳すれば「処女を追い出したぞ!」となる。
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