本音のコラム

■ ヒバク米兵 2005年02月27日(日) 
 劣化ウランに被曝して重度の健康を害している米国の女性帰還兵が医療保険をめぐって退役軍人省と争っている。米ニュー・ヘイブン・レジスター紙(2月11日)によると、メリッサ・ステリーさん(42歳)は湾岸戦争の際、クウェートでチリや砂や瓦礫を取り除いて戦車等の装甲車両を清掃し、時には汚染された部品を埋める作業を行った。部隊が使用していた化学警報装置が反応すると「装置は誤作動しているからはずせ」と命令されたという。前線で劣化ウラン弾の放射能を直接吸ったわけでもない彼女は慢性的頭痛、毎年3、4度かかる肺炎、筋肉のけいれん、慢性下痢、血尿、血便、3回の心臓発作などに見舞われてきた。イラク戦争では、より多くの劣化ウラン弾が弾薬に使われており、装甲車や兵士が長くさらされ、被曝は今までよりもかなり高い、と彼女は警告し、イラクとアフガンで従軍中のコネチカット州兵に対して劣化ウラン汚染の検査と治療を適切に行うことを求める法案を支持した。いくつかの帰還兵グループは「湾岸症候群」の原因が劣化ウランにある、と当局を訴えている。ところが米国防総省は相変わらず「空中の劣化ウラン粒子を吸入したとしても健康に害を及ぼすことは非常に少ない」と因果関係をほぼ否定している。もしかすると自衛隊のサマワ帰還兵も被曝しているかも知れないが10数年後に発症しても小泉首相はどこ吹く風なんだろうね。

東京新聞「本音のコラム」2月27日

*10数年後の小泉"鈍"一郎は政界を引退しているかも。
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ニュー・ヘイブン・レジスター紙の記事の翻訳配信はNO DUヒロシマ・プロジェクトの嘉指信雄さんが行ったものです。転送・転載、歓迎。(翻訳 左党周一・小泉直子)参考までに英文記事も紹介します。


「コネチカットの湾岸戦争帰還兵、ヒバクを証言」
(2005年2月11日付『ニューへイヴン・リジスター』:
Gregory B. Hladky)

【ハートフォード(コネチカット)】
 湾岸戦争帰還兵のメリッサ・ステリーは木曜日、声を震わせながら、クウェー
トで劣化ウラン弾と装甲車に触れたために重い病気になったと州議会で証言した。
 ニューへイヴンに住む42歳のステリーは、「外見は全く正常に見えるが、体
の中はどんどん蝕まれている」と語った。
 ステリーは、慢性的頭痛、毎年3、4度かかる肺炎、筋肉の痙攣、慢性下痢、
血尿・血便、3回の心臓発作を生き延びてきたことを州議会で語った。
 ステリーは現在、医療保障をめぐって退役軍人省と「戦闘中」だと語った。政
府は、研究の結果、劣化ウランは「いかなる長期的な健康リスクも引き起こさない」ことが示されていると主張している。
 ステリーは、イラクとアフガンで従軍中のコネチカット州兵に対して劣化ウラ
ン汚染の検査と治療を適切に行うことを求める法案を支持する証言をした。同法案は現在も委員会で審議中である。
 「今回の戦争では、より多くの劣化ウランが弾薬と装甲車に使われており、兵
士たちがはるかに長時間被曝しているため、劣化ウランへの被曝の可能性は今までよりもはるかに高い」と彼女は警告した。
 ステリーが自らの医学的症状について主張したことに対して、退役軍人省の当
局者はコメントを求められたが、応えていない。

 ニューヘイヴン選出(民主党)州議会議員のパトリシア・ディロンは、全米の
軍人から「ワシントンでデスクワークをしている人々は劣化ウラン汚染の危険性を軽視している」と聞いて同法案を提出したと証言した。
 ディロンは、「すでに陸軍は、劣化ウラン弾や装甲車に接触する兵士たちに対
して、汚染の検査と治療を実施することを規定にするよう要求している」が、「残念ながら、全米の多くの軍人は、そうした対応は取られていないと信じている」と語った。
 昨年、『ニューヨーク・デイリー・ニューズ』は、イラクから帰還したばかり
の9人のニューヨーク州兵を、費用を負担して検査を受けさせたと伝えた。彼らは全員、様々な病気にかかっていた。検査した兵士のうち4人が、劣化ウラン被曝に陽性だった。
 これらの新聞記事に反応する形で、陸軍当局はさらに600人の兵士を検査し
たが、だれも陽性ではなかったと報告した。
 「政府は私たちについては聞こうとしない」とステリーは主張した。「私たち
が大勢死んで初めて、政府は腰を上げるだろう」と彼女は述べた。
 劣化ウランは、原子炉用の燃料を製造する過程で、天然ウランから濃縮ウラン
を分離するときに生じる。
 アメリカは、対戦車砲弾や装甲貫通弾の効果を高めるために、劣化ウランすな
わちDUを使用している。DUはまた、戦車等の戦闘車両の装甲版にも使用されている
。湾岸戦争以来、よく使われるようになり、「湾岸症候群」の原因はDUにあると、いくつかの帰還兵グループが訴えている。
 「アメリカは、湾岸戦争で使用した量をはるかに上回るDUをイラクで使用して
いる」とディオンは語った。「私たちが湾岸戦争で犯した過ちを繰り返したくない」
 国防総省は昨年10月、空中の劣化ウラン粒子を吸入することによる健康上の
リスクは非常に小さい」という研究を発表した。国防総省が資金を提供し、独立研究機関が実施した5年にわたる研究は、「極端な場合でさえ、『エアゾール散布した』劣化ウランに被曝しても、健康上のリスクは無かった」と報告している。
 しかし、ディオンは、DUによってカルシウムが失われ、腎臓や骨が犯され、DNA
にも響がありうることを示す研究も幾つかなされていると述べた。
 ステリーは、帰還兵問題に関する州議会委員会での証言において、ベトナム戦
争で使用された枯葉剤が深刻な健康上のリスクがあったことも連邦政府は何年も否定していたことを、議員たちに指摘した。このリスクは後年の研究によって証明された。
 ステリーは、1991年から92年にかけての冬、クウェートの補給基地で6
ヶ月兵役に就いたと述べた。彼女は州兵戦闘装備A中隊に所属し、戦争で使用された
戦車等の装甲車両を清掃し、保管の準備をする任務にも就いていた。
 彼女は、チリや砂や瓦礫を取り除いて装甲車両を清掃し、時には汚染された部
品を埋める作業を手伝うよう命令されたと語った。部隊が使用していたM-8化学警報装置が反応すると、「M-8は誤作動している。化学装置をはずせ」と言われたものだったと彼女は述べた。
 「政府によれば、私は戦車を運転したことがないので、DUには絶対に被曝して
いないことになる」とステリーは証言した。
「政府はあくまでも否認してきており、今も何ら変わっていない。」
                             
                  
[以下、英語原文]

02/11/2005
Gulf War vet testifies on radiation

Gregory B. Hladky, Capitol Bureau Chief

HARTFORD-- Gulf War veteran Melissa Sterryユs voice shook as she told
state
lawmakers Thursday about the devastating illnesses she blames on her
contact
with depleted uranium ammunition and armor in Kuwait.
"On the outside, I look perfectly normal," said Sterry, a 42-year-old New
Haven resident. "On the inside, my body is destroying itself."
Sterry told lawmakers about her chronic headaches, the pneumonia she
suffers through three or four times a year, muscle spasms, chronic
diarrhea,blood in her urine and stool and the three recorded heart attacks she hassurvived.
"Eight of us served together," she said about her buddies in the National
Guard. "There are two of us left alive. ... I’d like to live to see 45
--most of my friends didn’t make it to 30."
Sterry said she is now "in combat" with the U.S. Department of Veterans
Affairs over medical coverage because the government insists that its
studies show depleted uranium "won’t cause any long-term health risks."
Sterry was testifying in support of a bill to require that Connecticut
National Guard troops now serving in Iraq and Afghanistan be properly
screened and treated for depleted uranium contamination. The bill is still
in committee.
Shewarned that the potential for exposure to depleted uranium is far
higher in this war because more of it is being used in ammunition and
armored vehicles and troops are being exposed for far longer periods.
Officials from the Department of Veterans Affairs failed to respond to
requests for comment on Sterry’s claims about her medical problems.
State Rep. Patricia Dillon, D-New Haven, testified that she introduced
the legislation because she has heard from military people all over the United
States that "the people at desk jobs in Washington, D.C., are discounting
the danger" of depleted uranium contamination.
Dillon said the Army already requires that soldiers who come in contact
with depleted uranium ammunition and armored vehicles be routinely screened
and treated for contamination. "Unfortunately, many people throughout the
country who are in the military believe that this isn’t happening," Dillon
said.
Last year, the New York Daily News reported that it paid for tests on
nine
New York National Guardsmen who had just returned from Iraq, all of whom
were suffering from various illnesses. Four of the soldiers tested positive
for exposure to depleted uranium.
In response to the news articles, Army officials tested 600 additional
soldiers and reported that none had tested positive.
"They don’t want to hear about us," insisted Sterry, predicting that the
government will respond only "when enough of us die."
Depleted uranium results when enriched uranium is separated from natural
uranium when fuel is made for nuclear reactors.
The United States uses depleted uranium, or "DU," to increase the
effectiveness of anti-tank shells and armor-piercing ammunition and bombs.
DU is also used in armor plating in tanks and other fighting vehicles. It
has been in common use since the Persian Gulf War and some veterans groups
blame DU for "Persian Gulf Syndrome."
"The DU we’re using in Iraq is much greater than we used in Gulf War
one," Dillon said. "I don’t want us to repeat the mistakes we made back
then."
The Department of Defense released a study last October that found that
"the health risks from inhaling airborne particles of depleted uranium are
very low." A five-year study by an independent research institute paid for
by the DOD reported that even "in extreme cases, exposure to ヤaerosolized

depleted uranium did not pose a health risk."
Dillon, however, said there are other studies that indicate DU depletes
calcium, affects the kidneys and bones and can have an impact on a person
’s
DNA.
During her testimony before the legislature’s Committee on Veterans’
Affairs, Sterry reminded lawmakers that the federal government for years
also denied that the use of the defoliant Agent Orange during the Vietnam
War was a serious health risk. Later studies proved it was.
Sterry said she served for six months at a supply base in Kuwait during
the winter of 1991-92. Part of her job with the National Guardユs Combat
Equipment Company A was to clean out tanks and other armored vehicles that
had been used during the war, preparing them for storage.
She said she swept out the armored vehicles, cleaning up dust, sand and
debris, sometimes being ordered to help bury contaminated parts. She said
that when the M-8 chemical alarms her unit used were triggered, the word
would come down "to take off our chemical gear, that the M-8s were
malfunctioning."
"According to the government, I was never exposed to DU because I never
drove a tank," Sterry testified.
"There is this perpetual denial that is occurring."
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Gregory B. Hladky can be contacted at ghladky@nhregister.com or (860)
524-0719.

http://www.nhregister.com/site/news.cfm?newsid=13937502&BRD=1281&PAG=461&dep
t_id=517515&rfi=6




■ ビル火災の疑問 2005年02月20日(日) 
今、ブッシュ大統領を最も悩ませていることは北朝鮮の核保有宣言でもシリア問題でもない。実は一週間ほど前に起きたマドリードの"ビル火災"こそが心痛の種だという。そりゃまた、なぜ?と思うかも知れないが、火災直後からホワイトハウスに電話と電子メールによる問い合わせと怒りが殺到している。当局は否定しているそうだが私の複数の米国の友人も抗議したというから間違いないだろう。
 32階建て(高さ106メートル)のオフイスビル21階から出火、炎上し、ビルの13階以上をほぼ全焼、一昼夜をおいてようやく鎮火。コンクリート壁や床が焼け落ち、高温の火で鉄骨の骨組みがゆがんでいる。ビル全体が崩壊しかねない危険な状態が続いたがどうやらそれは杞憂だった。崩壊するどころか火元周辺の主要な鉄骨はしっかりと残っている。ここで問題なのは「9.11の世界貿易センタービルはなぜ崩壊したのか」ということだ。単なる火災ではなく旅客機が突っ込んだのだから、という理由は屁理屈にすぎない。どう考えても延焼もしていない階の全てが粉々になって崩れ落ちるなんて変だと思いませんか?米国民は敏感にこのことを感じ、ブッシュ大統領に説明を求めたのだが明快な回答はないという。ビル火災の写真は私のサイト「9.11のカラクリ」にアップ中。ホワイトハウスへの問い合わせはpresident@whitehouse.govへ。www.parody-times.com

東京新聞「本音のコラム」05.2.20


■ 激怒する将軍様 2005年02月13日(日) 
 北の将軍様がW杯の対日戦を観るために訪日する、と先週、ここで冗談混じりに書いたが、どうやら本当に"お忍び"で観戦していたらしい。実は私はあの日、埼玉スタジアムの北朝鮮サポーターの陣取るエリアで試合を楽しんだ。赤いセーターと同色の防寒服に身を固め、思いっきり北朝鮮を応援したのだが、ただ一つ気になったことがある。斜め前の席に小太りの中年の男がキムチまぶしのポップコーンを食べながら何やら盛んに声援する姿が目立った。良く見ると、やや薄くなりかけた髪の毛とそのスタイルとか、今どき流行らない額からはみ出るほどの大きめのメガネと言い、あの将軍様にそっくりなのだ。数人の黒ずくめの護衛員らしき人物が鋭い目つきで周囲を監視している。やはり要人に違いない、と私は確信に近い感触を得た。その要人らしき人物が突然叫び始めた。少しはハングル語が解るので耳をそばだてて聞いていたらその男はとんでもないことを発していた。「負けたら日本にテポドンを撃ち込むぞ! 」。おいおい、冗談じゃないぜ、と思うひまもなく「自由と民主主義を守るために核兵器製造に拍車をかけるぞ!」と追い打ちをかけた。一瞬、ブッシュ大統領かと聞き違えるような過激な内容ではないか。警備員が駆け寄って来て男を取り押さえようとしたが護衛員ともみ合いが始まった。「6者協議・無期限中断!」「拉致問題・無期限中断!」を連呼するあの男はいったい何者だったのだろう? 

東京新聞「本音のコラム」2月13日 (最終行の部分を一部修正しています)


■ 将軍様の訪日 2005年02月06日(日) 
 九日に開かれる、北朝鮮と日本間のワールドカップ・サッカーアジア地域最終予選の試合を観戦するために なんと北の将軍様が突然訪日することになった。試合当日に興奮した両チームのサポーターの間に摩擦が生ずる 可能性があるとして、警察の警備とは別に特別警備隊を配置する、と発表したばかりの日本サッカー協会はあわてて自衛隊の出動を首相官邸に頼んだという。防衛庁は水鉄砲を装備した装甲車と催涙ガス銃付きの戦車を埼玉スタジアム周辺に数百台、配備することを決定。前代未聞の厳戒態勢がしかれることになったことに対して「首都防衛の演習になる」と石原都知事はご満悦。
 暗殺を恐れて飛行機を利用しない将軍様は護衛艦を連ねて万景峰号で日本海を渡り佐渡が島に立ち寄る。曽我さん一家に会う予定だがジェンキンスさんが面会を拒んでいるという。小泉首相は停泊地の新潟港に出向いて将軍様との再会を果たすつもりらしい。非公式会見とは言え経済制裁に触れないわけにはいかないはずだが「首相は将軍様の顔色をうかがいつつ拉致問題には一切触れず北京の後の"平壌五輪"開催の可能性について雑談することになるだろう」と細田官房長官が例によって蚊の鳴くような声で力なく語った。これでは国民が納得しないと感づいたのか「とにかく冷静にサッカー競技を楽しんでくれることを願う」と付け加えた。長官の最後のコメント以外は信憑性に多少の問題があることを断っておきます。
 
東京新聞「本音のコラム」2月6日


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