本音のコラム

■ 憲法“第九”を 2003年12月28日(日) 
 交響曲「第九」で有名な群馬交響楽団と高崎第九合唱団が今月二十日、三十回目の演奏・合唱を行った。シラーの詩「歓喜に寄す」は一七八七年に発表され、当時の進歩的な合理主義と国際平和の団体であったフリーメーソンの集まりで歌われていった。全ドイツが熱狂し、ベートーベンも詩の全編に曲をつけようと言った。フランス大革命に先立ってシラーがその革命の原動力とも言うべき「歓喜」を民衆のものとするために詩を書いたことへの強い共鳴だった。
 「百万の人々よ、我が抱擁を受けよ! この接吻(せっぷん)を、全世界に!」「暴君の鎖を解き放ち、…絞首台より生還!」「貧者は王侯の兄弟となる」と高らかに革命を歌い上げた。

 第九が革命の歌ならそれにあやかって今年の紅白歌合戦のトリは「憲法“第九”」というメロディーでまとめたらどうだろう? 歌詞は日本国憲法の「前文」を引用し、一部脚色して、こんなふうにまとめてみたらいかがなものか。

 「♪われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。間違っても諸外国に自衛隊を派遣するような暴挙は行わない」。嫌がる小泉首相に指揮棒を振ってもらう、というのはどうだろう?


■ やわらちゃ〜ん 2003年12月21日(日) 
 やわらちゃんの愛称で人気のある柔道の田村亮子選手がパリで結婚式をあげ谷亮子になった。挙式は両家の親族だけで行われたそうだが披露宴はなんと日本からの招待客が1000人を超え、費用は3億円とも言われている。思わず「ほんまかいな?」だが果たして自腹を切ったんだろうか、などと下衆の勘ぐりをしてしまうほどの豪勢さだ。でかいダイヤの婚約指輪をテレビのカメラに向かって見せびらかしたり、小学校の学芸会の女王様みたいなウエディング・ドレス姿まで披露するに至ってはもしかするとやわらちゃんって「テレビ出たがり屋」なの?と疑ってしまう。シドニー五輪では大会前に「最高で金(メダル)、最低でも金(メダル)」と豪語しただけにやっぱり「金の亡者」なのかも。結婚して出産でもすれば子育てに邁進するのかと思えばなになに、とんでもない「アテネで金を狙う」んだとか。他を寄せ付けない戦績を誇っているのだからここいらへんで後輩の指導などに力をそそいだらいかがかと思うのだが。大晦日に放送されるテレビで猪木軍団の一員としてやわらちゃんが女子K1選手としてデビューし吉田選手とリングで黒帯対決する。まさに"雌雄を決する戦い"になることは間違いない。指輪ははずしてね、やわらちゃん!
(東京新聞「本音のコラム #43」 2003/12/21)


■ ブッシュを裁け! 2003年12月14日(日) 
 イラク問題に話題が集中しているため、ややもすればアフガニスタンの惨状は忘れられがちだ。そんな中、昨日、第二回アフガニスタン国際戦犯民衆法廷が東京・九段会館で開催された。戦犯は誰?もちろん、ブッシュ大統領だが、そのブッシュ陣営は来るべき大統領選に向けて早くも120億円という巨額の選挙資金を集めて大量のテレビCMを流す計画らしい。民衆法廷では当然ながら「ブッシュ有罪」の訴えが大勢を占めている。9.11事件で友人の女性を亡くしたボビー・マーシュさんは「アフガニスタンと戦争したって死んだ彼女は戻らない。軍事行動でどんな平和と安全保障が得られるのか。反テロリストキャンペーンは、単に人種的偏見を増加させ、グローバルな人種隔離政策を進めるだけではないのか」と切実に訴える。カブールに住む新婚早々の娘を米軍の誤爆によって死亡させられた母親Cさんは瓦礫の下から取り出した娘さんの肖像画を手に語る。「この画のメッセージは『PEACE』です。私たちと同じような人間を生み出すなと言いたい」。劣化ウラン兵器問題について国際的なネットワークで研究と禁止をめざす運動を続けているローレン・モレさんが再度の来日で証言台に立ち、訴える。「ブッシュ政権は地球を滅ぼす!」と。(第三回公判、本日開催<結審>)
(東京新聞「本音のコラム #42」 2003/12/14)


■ ブッシュ落選運動 2003年12月07日(日) 
 映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」でアカデミー賞を受賞した時にオスカーを振り上げながら「ブッシュよ、恥を知れ!」と大っぴらにホワイトハウス批判をやってのけて大きな話題を呼んだマイケル・ムーア監督。大ヒットとなったムーア氏の著書「アホでマヌケなアメリカ白人」に次いで「おい、ブッシュ、世界を返せ!」という、これまた過激なタイトルの本が先月、アメリカで発売され、またたく間にベストセラーとなり日本でも今月、書店に並び、出だしは好調らしい。「金持ちの友人たちをもっと金持ちにするために、そして、国民に対しては"あなたたちの命が危ない"と嘘をついた」などと痛烈にブッシュ批判を繰り広げていて、こ気味いい。「いまのアメリカ国民にとって最大の課題は、2004年大統領選挙でジョージ・W・ブッシュを落とすこと以外にはないだろう」と手厳しい。そこでムーア氏はブッシュに勝てる大統領候補として抜群の人気の黒人女性タレント、オプラ・ウインクリーさんを積極的に推薦している。「オプラはブルース・スプリングスティーンと故マザー・テレサと故ダイアナ妃を混ぜたような人」とベタ褒めだ。そこで私は「おい、小泉、ムーア監督の話を聞け!」と首相に強く提言しておきたい。
(東京新聞「本音のコラム #41」 2003/12/7)


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