本音のコラム

■ 影武者ブッシュ 2003年11月30日(日) 
 イラクに駐留する米軍部隊の将兵ら約600人と感謝祭の夕食を共にするためバグダッドに極秘訪問したブッシュ大統領が実は"影武者"だった、というにわかに信じがたい話が米民主党議員たちの間で囁かれている。本物の大統領はテキサスの牧場で家族とともに七面鳥に自らナイフをいれて晩餐を楽しんだ。イラクへ飛んだとされる飛行機は大統領専用機ではなく経費節減のため小型セスナ機を使用したともいわれている。影武者を確認するため急遽、アフガニスタン経由でバグダッド入りした米民主党のヒラリー上院議員は「よくできたメークで確かに顔は大統領にそっくりだが話す言葉がオーストリー訛りの英語だから、たぶん、シュワルツェネッガーさんが演じていたのかも....」と語った。罪のない多くのイラク市民の死傷者を出した誤爆や劣化ウラン弾などの惨状をまったく視察することなく故郷で休暇をとったブッシュ大統領に対して「腰抜けだ」「真実を直視せよ」の批判がイラク市民をはじめ世界中の人道支援市民団体などから出始めている。
(東京新聞「本音のコラム #40」 11/30)


■ 謝罪会見 2003年11月23日(日) 
 報道陣の前で会社のトップたちが深々と頭を下げる、いわゆる"謝罪会見"というものはどうやら我が国特有のものらしい。かつて私は家族とともにアメリカで10年ほど生活したけれど、その間に謝罪会見をテレビや新聞で見たことはない。もし謝ってしまうと非を認めたことになり、法的に争った時に不利になるから、たとえ車の接触事故の際でも「申し訳ありません」「いやぁ、私も不注意でしたから.....」といった会話は間違ってもかわさないのがアメリカ流なのだ。我が国で謝罪会見の時に必ずといっていいほど行われる行為、"頭下げ"。この写真入り新聞記事の収集を私はここ数年間続けているのだが最近は視聴率買収の日テレが大いに目立った。難聴の幼児の耳を左右間違えて切開したり骨髄液採取のミスで患者を死なせるという重大ミスを二日続きで犯してしまった東京医大病院の院長らが頭を下げている写真を見て「日テレの謝り方と比べて頭が高いぞ」などと批判とも罵声とも言えない言葉を小さく吐きながらハサミで切り取る。おかげで私のファイルは土下座も含めて頭下げ写真で一杯だ。謝罪した経営者の中には、その後、法廷で「私は無罪です」と反論するケースもままあることからお詫びは単なるポーズに過ぎない、ということかも。
(東京新聞「本音のコラム #39」 2003/11/23)


■ 偽装救出作戦 2003年11月16日(日) 
 「イラク軍に撃たれて重傷を負った女性兵士、ジェシカ・リンチさんの救出作戦が実はヤラセで真っ赤なウソ、偽装だった、と本人が話しているが本当か?」とラムズフェルド国防長官に質(ただ)す小泉首相に対して「オー、イエス。彼女をヒロインに仕立て上げてイラク戦争の戦意高揚に利用したことは間違いない」と長官は正直に答えた。「万一、自衛隊が襲撃されたら米軍は助けてくれるんですか?」と首相が尋ねると長官は首を横に振りながら「ノーノー、これ以上、死傷者を出したくないから米軍の援助はありえない」と素っ気ない返事。「つまり、あくまでも“後方支援”ということですな」「イエス」「四年間で五千億円もの大金をイラク復興に拠出するというのに自衛隊員の生命の保証がないのは納得がいかない」「実は米軍は危険なイラクから撤退するつもりだ」「その代役をやれと?」「イエス!」「殺されるかも知れないところに誰が好んでノコノコと出かけられますかっ!」「そんなに心配ならジェシカに頼んだらいい。彼女は体験をまとめた『私も兵士』という本の出版で一億円もの契約料をせしめた。その金で救出専門会社をバグダッドに設立した」「自衛隊救出のためなら、三億円で契約しても安いもんだ」「オー マイガッシュ!」


■ さらば自民党! 2003年11月09日(日) 
 「さらば外務省!」という本が売れている。投票日の今日、あえて声を大にして言いたい。「さらば自民党!」、「さらば小泉首相!」と。その理由はいたってシンプル。自衛隊員の命を軽く見ているからだ。今朝のニュースによれば、またまたイラクで米軍ヘリがロケット弾攻撃を受けて撃墜、6人が死亡。つい先日、ブッシュ大統領が「イラクはいまだに危険」と語ったばかり。「自衛隊や在イラク日本大使館が攻撃対象になる可能性がある」とイラク訪問中の岡本行夫首相補佐官が警告したにもかかわらず小泉首相は「安全な地域への自衛隊派遣を実行する」と言い張る。すでに部隊を派遣しているスペインやタイが撤退する意志を固めているというのに。殺されるかもしれない外国にノコノコ出かけたくない、という感情が自衛隊員の中に蔓延しているという。そんな声をうち消すために政府は自衛隊員が死亡した場合の家族への弔慰金を最大一億円とする、と決めた。従来の六千万円と比べると破格だ。要するに「カネをやるからツベコベ言わずにイラクへ行け!」と半ば恫喝しているようなもの。これでも自衛隊員とその家族のみなさんは自民党を支持するんですか? もう一度言おう、「さらば自民党!」、「さらば小泉首相!」。
(東京新聞「本音のコラム #37」 2003/11/9)


■ 高速道路無料券 2003年11月02日(日) 
 民主党が強く主張する「高速道路無料化論」の具体的提案者の山崎養世氏が街頭で「高速道路永久無料券」を配るキャンペーンをスタートさせている。飛ぶようにはけていくシーンを目の当たりにして、やっぱり誰もが無料化を願っているのだなぁと思った。何を隠そう私も10枚ほどもらって、近所の知人たちに配ったのだが、これがまたバカ受けなのだ。「東名高速が本当にタダになったら東京から京都や神戸にまで気軽にドライブできる」「キャンピング・カーで日本全国をドライブしたい」「今までは別荘地だった軽井沢に住みながら首都圏にマイカー通勤も可能だ」などと目を輝かせながら嬉しさを隠しきれない。よく考えてみれば道路公団は昔、「いずれは必ず無料にします」と国民に約束していたはず。小泉政権の道路公団民営化案は「永久有料化」以外の何ものでもないわけで膨大な赤地を国民の税金で穴埋めするばかりではなく社長に元建設省事務次官のO氏を就任させようとしているのだから官僚主導はまったく変わらないのだ。もう、こうなったら民主党を中心とする「政権交代」、つまり政界再編しかない。おっと、さきほどの「永久無料券」だが、よく見ると小さな文字で「残念ながらまだ使えません」と断り書きがあった。
(東京新聞「本音のコラム #36」 2003/11/2)


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