本音のコラム

■ ファイト拳骨! 2003年09月28日(日) 
 吊り橋が壊れて汗みどろの若い男性二人のうちの一人が思わず川底に落下しそうになり、相棒が腕をつかんで危機一髪ならぬ「ファイト一発!」、命拾いをする、というおなじみの栄養ドリンク剤のテレビCM。どう見ても生命保険のほうがぴったりじゃないかと思うのだが。やはり栄養ドリンク剤で大正製薬のチオビタ・ドリンク・ヘルシーのCMはちょっと許せんぞ、という感じがする。幼児をおぶった若き主婦が社宅らしきビルの屋上から「あなたァ~」と気勢を上げると、なんと携帯式地対空ミサイルかバズーカー砲のような兵器を肩にドリンク剤の砲弾をぶっ放すのだ。標的は会社で上司にいじめられている夫。ドリンク剤が命中すると「おまえ!」と悲鳴とも感謝とも言えない声をあげる。間髪を入れず「愛情一本!」と商品名が耳に飛び込む。妻がゴーマンにも「働け!」とダメ押しの一言を決める。聞けば夫の仕事は「イラク派遣をビビる自衛官」という設定なんだそうだが、もしそうだとしたら陰の広告主はひょっとすると防衛庁? 自爆テロなどにより死傷者が絶えないイラクの現状を思うと、ミサイルを撃ち込むシーンを嬉々として作ってしまう無神経さに「ファイト拳骨!」の罵声の一つや二つを浴びせてやりたくなるよね。
(東京新聞「本音のコラム #31」 2003/9/28)


■ 踊る大総裁選 2003年09月21日(日) 
 あまり気が乗らなかったけれど、ついつい足が永田町に向いてしまい、「踊る大総裁選」という芝居を観てしまった。特別優待券とはいえ、猛暑の中、わざわざ電車を乗り継いでまでして観に行くほどの価値があったのかどうかは、はなはだギモンではある。
  そもそもストーリーは観る前から分かっていたし主役のジュン小泉の演技ときたら何もしないことが特技、というのだから面白くもなんともない。脇役が芝居を引き締めるかといえば、これがまた、どーしょうもない大根で、3人のどれをとっても総裁は愚か絶対に首相にはしたくない面ばかり。主役を食うどころか単なる引き立て役に過ぎず、政策ときたら新・民主党マニフェストのパクリみたいなもの。「だったら菅・小沢連合と一緒にやったらいいじゃないか」とヤジの一つや二つ、ぶちかましてやりたくなるほどの体たらく。
  公演後、引退が決まった老優、野中疲労務に至っては自派の幹部が小泉支援に寝返ったことをクダクダと愚痴るばかり。「これでは自民党が潰れるわい」と見得を切ったら間髪を入れず大向こうから「北朝鮮利権のために拉致問題を見て見ぬふりしてきた愚策への反省が先なんじゃないのか!」という罵声が浴びせられ、場内は拍手喝采となった。
"茶番劇"はまだまだ続くらしい。

(東京新聞「本音のコラム #30」 2003/9/21)


■ 9・11大反逆罪 2003年09月14日(日) 
 忌まわしいテロとして人々の脳裏に焼き付いている「9/11事件」の背後にある本当の謀略テロの首謀者は父ブッシュ、チェイニー、国防総省、そして防衛産業投資会社のカーライルグループだ、と過激な追求をしたジャーナリストのブライアン・ダウニング・クイグ氏が今年6月、ひき逃げで死亡した。
交通事故を装った殺人ではないかとの疑惑が持ち上がったが犯人は特定されていない。
  クイグ氏が昨年9月1日に発表した「9/11大反逆罪」という貴重なレポートが「TUP速報」(170号}から配信されたので主要ポイントを紹介しよう。
●父ブッシュとチェイニーはテロ攻撃の最中、ホワイトハウスの危機管理室にいた。世界貿易センターの2番機突入と国防総省への突入の間の34分間、緊急体制解除命令が空軍に発せられ、航路を逃れた航空機要撃処置が解除された
●カーライルグループは9・11以降、株価が37%に上昇した。ブッシュとチェイニーの友人たちはカーライルグループの投資家
●カーライルグループは国防総省の炭疽菌ワクチンの唯一の供給会社であるバイポートに大きな利権を持っている。炭疽菌事件を辿ればアメリカ軍がその出所であることがわかる
●ビルに突入の2機は自動操縦だった> 
さらに詳しくはTUP速報へ。

http://www.egroups.co.jp/group/TUP-Bulletin
(東京新聞「本音のコラム #29」 2003/9/14)


■ パロディー絵本 2003年09月07日(日) 
 以前、講演を聴いたことがあるアメリカの地質学者、ローレン・モレさんにお会いした。
彼女が私のパロディー作品をあるところで見て「とてもインパクトがある」と感想を述べたところからビデオ・ジャーナリストの神保哲生さんが「ぜひ、二人を引き合わせたい」ということで"出会い"が実現したというわけなのだ。
  モレさんは核兵器研究所で高レベル核廃棄物貯蔵所プロジェクトの担当だった時、そのプロジェクトが科学的な詐欺であることに気づき内部告発者となる。研究所を辞めたあとは原発と放射能被害の因果関係を調査。
現在は劣化ウランや放射能が人間に対していかに危険かを説いている。
  「9/11事件の真犯人は米国の軍部」と迷いなく断言するほどの気骨ある人物。戦争のカラクリを暴くパロディー絵本を英文の解説つきでアメリカで出版しようと考えている私にモレさんは「出版社や反戦運動家たちをぜひ紹介したい」と心強いサポートの言葉をかけてくれた。
そして「マッドさんのような辛口のユーモアこそが権力に対する有効な武器になります」とも。9月26日から28日、サンフランシスコで開かれる「米軍占領終結だけがイラク・パレスチナに平和をもたらす」という大会に参加し、大いに絵本の宣伝をしてこようと私は心に決めた。

(東京新聞「本音のコラム #28」 2003/9/7)


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