■ 天皇陛下の発言
2004年10月31日(日)
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日の丸・君が代に関して「強制にななるということではないことが望ましい」という園遊会での天皇陛下の発言が話題を呼んでいる。国旗国歌法は、日の丸と君が代に初めて法的な根拠を与えたが、尊重義務や罰則はない。ところが東京都教育委員は今年三月、卒業式で君が代斉唱時に不起立だった教職員ら百七十六人を処分した。天皇陛下はおそらくこのことが気がかりだったに違いない。発言の流れは陛下の「教育委員会として本当にご苦労さまです」から始まる。これを受けて都教委で棋士の米長氏が「一生懸命頑張っております。日本中の学校で国旗を掲げ国歌を斉唱させるのが私の仕事であります」と答え、この後、陛下の強制にならないように、という発言へと続く。 あくまでも推測だが陛下は質問の内容をあらかじめ準備していたのではないか、ということだ。とは言っても陛下自身が対面する多くの相手の経歴をすべて調べるわけもないから、ここは宮内庁と首相官邸あたりが事前にレクチャーしていたとみるのが妥当ではないだろうか。園遊会の出席者は皇族方をはじめ政治家の他に各界の功労者とそれぞれの配偶者ら 約二千人が招待された。米長氏との会話はほんの一部にすぎない。しかし、ほんの一部の会話シーンをテレビは報じた。ここだけは必ず放送するように、と宮内庁が"強制"したかどうかは定かではない。
(東京新聞 「本音のコラム」 04.10.31)
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