本音のコラム

■ 小泉首相の一日 2003年08月31日(日) 
 分刻みの行動をくまなく書き並べる「小泉首相の一日」が本紙総合ページの左下すみに連日、報告されている。
これを見ると首相は朝から晩まで面会の連続だということがわかる。そこでいつも気になることがある。夕食の時のレストランの場所と固有名詞が書かれていることだ。七月末から八月末までのいくつかを紹介すると....。
●丸ビル内のイタリア料理店「アスティカ オステリア デル ボンテ」、
●赤坂プリンス内のフランス料理店「トリアノン」、
●銀座のフランス料理店「ロオジエ」、
●大阪市中央区の日本料理店「吉兆高麗橋本店」、
●赤坂のTBS会館内のイタリア料理店「グラナータ」、
●東京・紀尾井町の「ホテル・ニューオータニ・ガーデンコート」、
●同じく紀尾井町の赤坂ブリンスホテル内の日本料理店「紀尾井」
といった具合い。
  昼食はほとんど報告されないのだがなぜか東大阪市のそば店「厨 八戸ノ里店」なんていうのもある。永田町のキャピトル東急内の「村儀理容室」に至っては果たしてわざわざ報告の必要があるんだろうか、とギモンに思う。たぶん首相官邸の資料をそのまま掲載しているのだろうが明らかにレストランの宣伝になっている、ということだ。まさか見返りに夕食代がタダということはないでしょうね、小泉さん?
(東京新聞「本音のコラム #27」2003/8/31)


■ 日本道路怪談 2003年08月24日(日) 
 「道路公団のウソ」と題して7月27日付け本欄 で私は藤井総裁を批判した。案の定、無いはずの財務諸表がその後、一転して「ある」となった。ウソがバレバレなのだ。月刊誌に「亡国の総裁」と題して藤井総裁を批判した公団の片桐四国支社調査役を名誉棄損、侮辱容疑などで刑事告訴するというが筋違いもいいところだし、そもそも国民を侮辱しているのは当の総裁の方じゃないのか、と言いたい。そんな藤井総裁がなんと私、マッド・アマノを告訴しようとたくらんでいるらしい。道路公団に勤務する知人によれば、おととい発売された週刊金曜日の私の連載パロディーに対して総裁はひどく憤っていたという。日本道路公団をもじって「日本道路怪談」とやったのだが「妖怪・二枚舌総裁」という表現がとくにお気に召さなかったらしい。渋滞する高速道路の真ん中で幽霊の格好をした総裁の図も怒りのもとになったらしい。「財務諸表」と書かれた「破れ提灯」も公団の"お化け屋敷"的体質を象徴しているわけで、この作品はけっこう良くできた、と自負している。まだ総裁から「内容証明」が届かないが、茶化されたくらいで告訴するのなら、すぐバレるようなウソをつかないことですよ、藤井さん。
(東京新聞「本音のコラム #26」 2003/8/24)


■ なぜ「モー娘。」? 2003年08月17日(日) 
 ヤングに超人気のアイドル、15人の「モーニング娘。」たちがにこやかに微笑ん
でいるポスターを自治体の窓口で見かけて私は思わず絶句した。たぶん、コンサート
の告知だろうとたかをくくっていたら、「GO!GO!PEACE!」という威勢のいいキャッチ・
コピーが目に飛び込んできた。よく見るとその上に「一生懸命って、いい感じ。」と
ある。な、な、なんと自衛官募集のポスターなのだ。オイオイ、ちょっと待ってくれ、
イラク派遣でもしかしたら死者が出るかもしれない、という微妙な時勢にこんなノー天気な表現でいいんだろうか、といぶかしく思うのは決して私だけではないはず。高卒を対象にした2等陸・海・空士の募集人数は男女併せて約8200人。中でも陸自は人気がなく定員に対する充足率が89%と低率。三自衛隊は1991年をピークに減り続けており、今後も採用は厳しさを増すばかりだという。「迷彩服に銃を持ったモー娘。なら逆にカッコいいけど」と来年、高校を卒業するという男子がポツリと語った。ノースリーブのカジュアルな衣装でアイドルを登場させた防衛庁の目論みが大きくはずれたことだけは確かだが、こんなアザトイやり方をしてまで高校生をたぶらかさなくともいいじゃないか、と眉間にシワで怒りたいよ。
(東京新聞「本音のコラム #25」2004/8/17)


■ シュワ大統領? 2003年08月10日(日) 
 「ターミネーター」のシュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガーさんが
米加州知事選に出馬表明したことはすでに知られているけれど「心臓病手術」やケネ
ディ元大統領の姪の「奥さんの反対」などで出馬はない、と見られていた。これらの
憶測を覆しての出馬宣言の真意をシュワちゃんは語っている。「オーストリア生まれ
の移民として"アメリカン・ドリームの実現"を目指す」と。立候補者がすでに15人を越えるなかで当選の呼び声が高いシュワちゃんだが実は米大統領の座を狙っている、とも噂されている。外国生まれは資格がないので現状では大統領候補にもなれないのだが共和党は法律を変えてまでも"シュワ大統領"の実現を目指すのではないか。ボスト・ブッシュを狙っている民主党のヒラリー・クリントン上院議員に互角以上の戦いができる人物といえばシュワちゃんをおいて他にないのだから。共和党員でありながら銃規制を強く主張するシュワちゃんが大統領になればネオコンが糸引くブッシュ政権のような武力で他国を侵攻するといった野蛮な行為を継承するとは限らない。映画の中で棺桶かついで銃をぶっ放しているけれど、その相手は意外にもネオコンかも。すると棺桶の中はもしかしてブッシュ大統領?
(東京新聞「本音のコラム #24」2003/8/10)


■ 首相の始球式 2003年08月03日(日) 
 「もしもし、首相の小泉だが、始球式をこの私にやらせてみませんか。何せ、最近、支持率がダウンしてるもんで、ばん回策として、ぜひ!」と高野連に電話したかどうかは定かではないけれど7日に開催される全国高校野球の始球式を小泉首相が務めることになった。
  ちょっと待てよ、首相はいつから高校野球の熱烈なファンなのか?
記者団に夏休みの過ごし方を聞かれ「ごろ寝をしながら、セミの声を聞いたり、読書したり、ごろごろしてますよ」と答えた首相。
「テレビで高校野球を観戦する」の言葉はついに出なかった。"趣味はオペラ"の人だから高校野球には関心がないはず。
  そう言えば、「痛みに耐えてよく頑張った。感動した」と絶叫しながら賜杯を貴乃花に授与したことは記憶に新しい。どうやらあの時の名言(?)を始球式で再現しようと企んでいるらしい。
  たぶん、こんなふうに・・・・
「対戦チーム(抵抗勢力と野党)を打ち負かすためには相手や観客(国民)の言うことなどに耳を貸さず自分の考えを貫くこと。せこいバントや盗塁などで得点するのは邪道。正々堂々、真っ向勝負を期待する」。
またぞろ、実現不可能な郵政事業民営化を公約したり藤井日本道路公団総裁すらクビにできない首相に「正々堂々」を云々して欲しくないよね。
(東京新聞「本音のコラム #23」 2003/8/3)


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