本音のコラム

■ 呪文ラップ 2005年03月28日(月) 
ここのところ二、三日、花粉症のため集中力が落ちているので意を決して「読経」を始めた。般若心経のような難しいものではなく、ただ単に「呪文を唱える」というやつで、むしろ若者に人気の「ラップ」に近いかも。小型のコンガを両足に挟んでポンポコポンポコと叩きながら体が温まってきたらやおら声を出す、というわけなのだ。
 別に難しくはありませんが唱える言葉の意味を問わない、ということだけを心がけていただければ効果は絶大。二、三時間後にはくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみはほとんど解消されるばかりか儲かりそうな株式銘柄が頭にはっきり浮かんでくるというありがたい"ご利益"も期待できるのであります。 さて、ご一緒に、どーぞ。
 「♪らーいーぶーどーあー、にっぽーんほーそー、てーおーびー、こーかーいかーいーつーけ、ふーじーてーれーび、くーらーうーん・じゅーえーる、おーかーんのほーせーき、しょーどーさーくーせーん、ぽーにーきゃーにーおーん、しーんかーぶよーやーくけん、じゅーぎょーいんさーま、れーばーれっじどーばーいーあーうと、ほーわーいーとなーいーと、そーふーとーばんくーいんべーすーとーめんと、そーんまーさーよーし、かーしーかーぶ」

(東京新聞「本音のコラム」3月27日)


■ 「韓流」が逆流に? 2005年03月28日(月) 
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 竹島(男島・女島)を巡って日韓両国がもめている。今年は日韓友情年というのに、これではせっかく芽生えた「韓流」も逆流になりかねない。誰か仲裁人はいないものかと考えたところ、いたいた、いました、"冬のソナタ"のペ・ヨンジュンさん。日本のオバサマ族に絶大な人気の彼を担ぎ出してはいかがか。ヨン様の撮影会を竹島で開催するという企画。島根県の松江市から高速フェリーを臨時就航させれば足は問題ない。東京ドーム5個分、日比谷公園ほどの広さだが島の周囲は絶壁だから収容人数はせいぜい100人が限度。抽選にすれば応募者が殺到することまちがいなし。テントを設営すれば寝袋持参で二三日の滞在も可能だ。照明はすでに韓国が建設した灯台の光を利用すればいい。プサン(釜山)港からレジャー用ボートでの送迎あり。ヨン様はこの秋公開予定の韓国映画「四月の雪」に主演することが決まった。ロケ地としてぜひ「竹島」を入れてもらおう。ヨン様が孤島の男島で自炊生活をするというロビンソン・クルーソー漂流記をヒントにしたストーリー。隣り合わせの女島に"雪"という名のうら若き日本女性が住んでいることに気づき、二人は携帯電話で画像を見ながら話しているうちに恋が芽生える。雪役は韓国でも人気のある浜崎あゆみに決まりだ。「韓流」は本流なのであります。

東京新聞「本音のコラム」3月20日 


■ 日の丸・君が代 2005年03月12日(土) 
 毎年、卒業式シーズンになると"日の丸・君が代"問題が話題になるけれど、これって今や年中行事みたいなもので論争に新鮮味がないばかりか面白味もない。教師に対して「君が代」斉唱時に起立を義務づけることは、憲法19条で保障された良心の自由を侵害することになる、という見方もあるそうだがアメリカでも教師に対して国旗敬礼を強制することは合衆国憲法に違反するとか。法律論はさることながら、天皇陛下も「強制になるということではないことが望ましい」と発言しているくらいだから"起立"は自由意思にしたらいい。起立拒否が抵抗の表現だとすればそれはあまり効果的だとは言えない。「日の丸・君が代」を認めないなら代案を出して広く国民にアピールすべきだが、それもない。私は実のところ「日の丸」に少し手を入れることで反対派の賛同を得られると思っている。赤丸の中央に黒色でJAPAN.govと入れれるだけで世界中の人々がインターネットで日本に関するあらゆる情報を検索できる。五輪で日の丸が揚がれば揚がるほどアクセス数は増えるはず。「君が代」は"さざれ石(小さな石)が巌(巨大な岩)になり苔が生すほど日本という国は永遠なのです"、と詠っている。"鍾乳洞"をイメージさせる国歌は世界広しと言えども他にない。自然保護にもつながるエコロジカルな"苔の歌"君が代、いいんじゃない?
東京新聞「本音のコラム」3月13日


■ 強制わいせつ容疑の議員に対するコメント 2005年03月10日(木) 
 10日の夕方、原爆絵本の制作のため、コンピューターを使って画像を作っていたら突然、共同通信のK記者からコメントを求める電話が入った。「国会議員が女性に抱きついて現行犯逮捕された件についてコメントを....」といつものように締め切りが差し迫っている感じで私の返答を待っている。「へえ、それはいつ?」と聞き返すと「夕刊に出ています。六本木の路上で酒に酔っていたらしいです」と説明してくれた。聞けば3年前に都議会議員から衆議院議員に当選したばかりの新人議員で年は40歳、自民党亀井派なのだとか。「あっそう、酒に酔ってたわけね。このところ有名人の酒の勢いの"事件"がよく六本木で起きますね。歌舞伎の勘三郎の次男とか冬季五輪のメダリストのモーグルの女性選手とか。もしかすると六本木には魔物が棲んでるのかも。(笑)」
 これでは新聞に使えないな、と話しながら感じたので気を取り直して「日本は何かと"酒に酔った勢い"と言うけれど酒を飲まない私にはそのあたりのことが理解出来ないね」またまたコメントにならない話をするものだから記者が言葉を挟んだ。「山拓の例もありますから...」と。「あぁ、あれね。山拓のケースは不倫騒動だからもっとタチが悪いね。そこへいくと、この議員のはずーっと軽いんじゃないかな。しかも、神妙に謝っていると言うし」。これでも使えるコメントではないらしく記者は「議員辞職をする、と言ってるようです」とホコ先を向けて、というより助け船を出してくれた。「えっ、議員辞職するって発表したんですか?ふーん、そこまでする必要があるんだろーか。たしかに国会議員は一般人とは立場が違うけれどねぇ。高齢の議員ならともかく、この人、まだ若いんだし初犯だから今回は辞職することはないと思うけど」と。てっきり辞めるべき、という結論かと思いこんでいたフシの記者が「はっ、そうですか?」とあきらかに怪訝そうに相づちをうった。多分、この手のテーマだと「辞職するのは当然」という意見が圧倒的に多いはず。そんな当たり前の結論じゃ面白くないので、敢えて「辞職は行き過ぎ」と言ったわけだが、あとでじっくり夕刊を読んだら別のアイデアが浮かんだ。酔った勢いで女性に抱きついただけで、議員辞職をするのは "いさぎよい"が不倫をスッパ抜かれても我れ関せずの山拓こそ"厚顔無恥"だ、ということを記者会見で訴えれば国民は見上げたもんだ、と評価するに違いない。うーん、これでも切れ味はいまいちだなぁ。
(今回は「本音のコラム」ではありません)


■ 「ちびくろさんぼ」復刊  2005年03月06日(日) 
grp0306161302.jpg 102×122 10K 人種差別的との批判を受け、絶版になったままだった岩波書店版絵本「ちびくろさんぼ」が別の出版社(瑞雲舎)から来月めでたく復刊されるという。あえて"めでたく"と書いたのにはわけがある。そもそも原作は19世紀、イギリス人のヘレン・バナーマンさんが夫の仕事の赴任先のインドで4人の子供たちのために書いたもの。その後、本国のイギリスやアメリカなどで"黒人を差別するもの"と烙印を押され、発禁の憂き目にあう。日本で問題になったのは部落解放同盟長野市協議会が長野市あてに「黒人差別だ」と申し入れ書を提出し手図書廃棄騒動になった。微妙な問題だけに岩波書店をはじめ20数社が「絶版」としたのも当時としてはやむを得なかったとも言える。とは言え、往年のヒット商品の「ダッコちゃん」が黒人だという理由で販売中止になったり、黒人がストローでカルピスを飲んでいる トレードマークまでが矢面に立たされ、使用中止を余儀なくされたのはどう見ても行き過ぎだった。これは明らかに"事件"だったのだが1980年代の我が国は差別を訴える人々に対して反論することは難しい時代だった。私は拙著「パロディー主義」(1998年)に「『ちびくろサンボ』を差別書と決めつけるのはおかしい」と書いた。復刊めでたしめでたしである。

東京新聞「本音のコラム」3月6日




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