本音のコラム

■ ハリケーン援助 2005年09月25日(日) 
 日本のミュージシャンたちが「ハリケーン・エイド・ジャパン」を立ち上げた。被害を受けた米南部を支援しよう、というものだ。被災地のニューオーリンズはブルースやジャズなどが盛んな音楽の街だから賛同したミュージシャンたちが思いを込めて募金を呼びかけるのはよくわかる。募金はクリスマスの時期を目標に届けるという。ハリケーンによる経済的損害はなんと2000億ドル(22兆1000億円)にものぼるらしいから少しでもタシになるなら募金大賛成だ。"サッチモ"ことルイ・アームストロングが歌う「エンド・オブ・ザ・ワールド」、"この世の終わり"にならないためにも、この際「ホワット・ア・ワンダフル・ワールド」、"何と素晴らしい世界"を口ずさみながら募金しませんか。
 ところで募金と言えばイラク市民を忘れないでほしい。米英軍の劣化ウラン攻撃のあと、激戦地となった地域の市民、とくに子供たちに被曝被害が集中している。放射能汚染した戦車を遊び場にしたり、食物や地下水を摂取して体内被曝をする。湾岸戦争の際に被曝した女性の異常出産も大きな問題となっている。今、援助すべきはイラク市民なのであります。ミュージシャンのみなさん、「イラク・エイド・ジャパン」もぜひ同時進行でお願いします。事務局03・3702・3380 www.parody-times.com

(東京新聞「本音のコラム」 05.9.25)


■ 笑って滅びる? 2005年09月18日(日) 
 昨年10月から登録制にした私のウエブ・サイト「パロディー・タイムズ」の登録者数が1年足らずの現在、なんと五千五百人を越えた。「パロディーで正気に戻ります」「するどい風刺で眠っている市民を覚醒させてください」など多くの激励のメッセージをいただいている。そして選挙後、小泉批判が連日寄せられている。私は早速、小泉首相に転送した。例によって返事はない。そのなかのいくつかを紹介しよう。
 「日本はどうなるのだろうと不安にかられる日々です」「 なんだか世の中がどんどんいけない方向へ進んでいるような気がします。 声高に『××ハンターイ!』とデモっても、何も変わらない」「小泉の政治手法・欺瞞・卑怯さに、ほとほと嫌気がさしているし、猛烈な怒りも抑えられません」「小泉首相の任期があと一年足らずなのがせめてもの救いです。辞めると言ってるんだからぜったい来年で辞めてもらいたい」「今回の選挙は、天の岩戸の前で派手に踊りまくった "天照大神"(小泉純一郎)の仕掛けに、ゾロゾロ這い出してきた無党派の連中がまんまと取り込まれた結果の自民大勝です」「あまり笑いたくない衆院選の結果でしたが無理に笑うぞ…と」「自民党圧勝に呆然としております。なぜみんなコイズミに騙されるのでしょう。ここ数日とても悲観的です。そんな気分を吹き飛ばすべく、もう笑ってしまおう!」「この国を憂い、笑って滅びましょう」

(東京新聞「本音のコラム」05.9.18)

★登録者数は18日(日)16:00現在、5600を越えました。


■ 民主党の奇策  2005年09月11日(日) 
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 米南部ハリケーン大災害は日本の民主党にとって、言葉は適切ではないけれどまさに"千載一隅のチャンス"だった。アメリカの事などどうでもいい、という批判のあることを承知の上でやるだけやってみれば良かった。
 そこで、もしも私が岡田さんならこう主張する。「みなさん、サマワの自衛隊を全員、米南部ハリケーン被災地に派遣します。人道支援とはまさにこれなんです。もともと自衛隊はヒマなんですから」。最後のひと言はやや蛇足だが、これなら被災者はもちろんアメリカ国民も喜ぶに違いない。医師1000人の派遣を申し出たキューバの善意を断ったブッシュ大統領も自衛隊派遣には反対する理由はない。六カ国協議に参加している国々もそれなりに評価するはず。少なくとも設営地の近くにミサイルが飛んでくるとか劣化ウランによる被曝の心配もない。冠水したニューオーリンズの街に日の丸をつけた自衛隊の救援活動ぶりがテレビに映し出される。おっと、ついでに迷彩服をやめて作業服は白地に赤い水玉模様の洒落たデザインにしたらいい。
 さらに米南部の被災地に飛んでこう訴える。「私たち日本の民主党は"日本を、あきらめない"ではなく"被災者の方々を、あきらめない"に変えます」。さてさて、これで無党派層の琴線に触れただろうか。

(東京新聞「本音のコラム」 05.9.11)


■ 天災VS人災  2005年09月04日(日) 
 米ハリケーンの死者がなんと数千人に及ぶかもしれないという。街の約80%が冠水したままのニューオーリンズ市は水が引いたあとに犠牲者の数がさらに増えるかも。日が経つに連れて疫病の蔓延とか餓死者の増加も懸念されている。食糧の奪い合いから市民同士の発砲事件なども起きている。
 私は早速、ブッシュ大統領にお悔やみと苦言を込めた電子メールを送った。
「このたびの大惨事の犠牲者の方々に哀悼の意を表すとともに避難している方々の安全確保を切に願います。ジャズの街として親しまれてきたニューオーリンズをはじめ被災地域の速やかな復興を期待します。被害状況を目の当たりにしたミシシッピ州知事は『(原爆が投下された)60年前のヒロシマのようだ』と感想を漏らしました。そう言えばブッシュさんもスマトラ沖地震の津波被害に対して同じような発言をされていたと記憶します。ここで私は大統領と知事に原爆とは何だったのかを熟考していただきたいと思い、 あえて苦言を呈する次第であります。原爆の被害は今回の天災とは比較にならないほど悲惨なものです。死者の数はもちろんですが決定的に異なることは"人災"だった、ということです。国際法に違反した原爆投下を行ったのはどこの国かを思い起こしていただきたい」president@whitehouse.gov

(東京新聞 「本音のコラム」 05.9.4)
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「アメリカは有罪だった」

 米南部ハリケーン被害は日を追うごとに増大している。どうやら犠牲者の数は1万を超えるらしい。市内の80%が冠水しているニューオーリンズは水が引いたあとに遺体が見つかる可能性もあるからその数はさらに増えるはず。
 ホワイトハウスはハリケーンの愛称を「カトリーナ」から「ビンラデイン」に変えると発表。そう言えばわが国の台風も昔は「キャサリン」とか「ジェーン」といった白人女性の名前をつけていた。おそらく戦後のGHQが強要したのだろう。どうせつけるならセクシーな「マリリン」とか「ベベ」(フランスの肉体派女優、ブリジッド・バルドーの愛称)にしたらよかった。もっとも女性から見たら「ヨンサマ」とか「ベッカム」にしたいところかも。
 広島・長崎に落とした原爆の名前は「リトルボーイ」と「ファットマン」。広島に投下した爆撃機B29は機長の母親の名前「エノラ・ゲイ」。そして第五福竜丸の乗組員や南洋の島々の住民が被爆させられた時の水爆の名前が「ブラボー」。「大量殺戮兵器」に付ける名前にしてはあまりにも脳天気すぎやしないか。いや、それよりも犠牲者のことなどまったく考えていない、としかいいようがない。太平洋戦争の時、米国ではこんなスローガンが流行った。「一番素晴らしい日本人は死んでいる日本人」。敵を鬼にたとえた「鬼畜米英」などは可愛いもんだ。
 
 さて、今回はぜひ一読をお薦めしたい本を紹介する。書名は「アメリカは有罪だった <核の脅威の下に>」(上・下)著者 エドワード・セント・ジョン 朝日新聞社 1995年12月刊。
 なぜ、地球上から核兵器がなくならないのか。1995年夏、運命の地ヒロシマで国際法廷が開かれた。被告はアメリカ合衆国大統領、容疑は「増大する核兵器によって全人類を大量殺戮の危険にさらした罪」。さて、判決は…。
 原爆投下を決定したトルーマン大統領は1945年8月8日、ポツダム会談に関する報告のなかで、次のような声明を発表している。
「世界初の原子爆弾が軍事基地である広島に問うかされた。その理由は、『一般市民の犠牲者を極力出さないよう望んだためである。だが、これは単なる警告にすぎない。日本見があくまでも降伏を拒むなら、今後も引き続き日本の軍需工場に対する爆撃は続き、不幸にも数千人にのぼる一般市民が声明を奪われることになるだろう』 」
 著者は「かのゲッペルスですら、このような『大嘘』をついたことはなかった。たしかに広島は一種の『軍事 基地』ではあったが、さほど重要な軍事拠点ではなかった。一般市民の犠牲者を『出さないよう望む』どころか、一般市民の殺戮こそが原爆投下の主目的だったのである」(上巻100ページ)と語っている。
 上・下それぞれ550ページからなる渾身一滴の裁判記録。
この本を読む前に下記のレポートを 一読いただきたい。

「原爆投下問題への共通認識を求めて 長崎の視点から」

木村 朗(鹿児島大学、平和学専攻)
http://www.ops.dti.ne.jp/~heiwa/peace/shiryo/nagasakigenbaku.html
 


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