本音のコラム

■ 水爆搭載機墜落の大きなツケ 2007年09月02日(日) 
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 水爆を搭載した米軍機がスペイン南部の農村に墜落した大事故のことを記憶している人は少ないと思う。
 事故は1966年1月17日に起きた。今から約40年前である。米爆撃機B-52と空中給油機KC-135が3万1千フィート上空で給油中に衝突、2機とも墜落した。KC-135の乗員4名は全員死亡。B-52の乗員は4名が生き延びた。4個の水爆のうち3個が農村に落下、1個が海中に落下した。地上に落下した2個は核爆発はなかったが通常火薬によって爆発し、ウランとプルトニウムが飛散して2平方キロの土地が汚染された。事故直後、安全性をアピールするためにスペインの情報観光大臣マヌエル・フラガと合衆国の大使アンジー・デュークは記者の前で海で泳いでみせた。海に落ちた水爆は米海軍による長い探索ののち、80日後の3月17日に深海探査艇アルビン号に発見され、潜水艦救助船ペトレルの上に引き上げられた。(ウィキペディア)

 「水爆落下の村 戸惑い」という見出しと「米軍機事故から41年 スペインで本格調査」というサブ・タイトルで朝日新聞・沢村記者が現地に赴き取材し報告している。
 41年間、事故を封印し続けたにもかかわらず、なぜ今「本格調査」なのか?
[引用、ここから]
「時代が変わり、観光や農業が盛んになって汚染が広がる可能性があるから、と政府当局は説明する。『遅すぎた』との批判が出る一方、沈黙を余儀なくされてきた住民たちには戸惑いが見える」。(中略)
 マドリードの環境団体エコロヒスタス・エン・アクシオンは「政府が居住に適していると定める値を大きく上回る放射能が土から検出されたとの内部文書がある」と主張する。[引用、ここまで]
 
住民が被ばくした恐れは十分考えられる。米軍とスペイン政府が41年間も情報公開を拒んできた推移を見るといつも悲惨な目に遭うのは市民だということが分かる。
「スペイン南部の海岸はヨーロッパからの観光客でにぎわい、パロマレスでは外国人向けの別荘地が建てられている。住民は風評被害を恐れ、クエバス・デル・アルマンソラの市長は『政府は安全宣言を出すべきだ』と述べている」(ウィキペディア)
 調査の経緯を見守りたいが、報告を鵜呑みにするのは危険だ。権力側は真実を隠蔽することが得意技だからね。
★水爆落下地域 アルメリア県アンダルシア州クエバス・デル・アルマンソラ
及びパロマレス
参考資料 
「水爆落下の村 戸惑い」(07.8.23朝日新聞朝刊「世界発2007」沢村記者
価値あるものだから最寄りの図書館などでぜひ一読を勧めたい。

フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia)「パロマレス米軍機墜落事故」



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