教科書が教えない原爆神話のカラクリ

パロディー絵本『リトルボーイとファットマン 』

「リトルボーイとファットマン」の表紙

「リトルボーイとファットマン」の表紙
 最初の被爆国である日本人が原爆投下の責任を問わずして誰が問うのか? 非戦闘員を殺すことは国際法に照らして明らかに違法だったにもかかわらずアメリ カの戦争責任は不問に付されてしまった。
 原爆投下の目的は★米軍の被害を最小限に食い止める★戦争を早く終わらせる、と いうものだった。しかし、これはあくまでも「表向き」であり本当は「ソ連に対する 威嚇」と「人体実験」だったことが明るみに出てきた。
 米軍の極東総司令官だったマッカーサー元帥やアイゼンハウワー大統領でさえも現 役を退いた後とは言え、「原爆投下は無用だった」と公言している。つまり、日本は 原爆を投下しなくとも降伏するのは時間の問題だった、というのだ。
 朝鮮戦争の指揮をとったマッカーサーはアメリカが朝鮮半島を死守するために北朝 鮮と中国に対して戦ったことに対してこう述懐している。「太平洋戦争は日本の自衛 のためだった、ということがよく理解できた」と。
 欧米列強のアジア侵略と植民地化政策は歴史が証明するところだがこれらの国の犯 罪を断罪することはなかった。勝てば官軍なのだ。アメリカは1900年代の初めに「オ レンジ計画」というアジア侵略の計画を立てていた。日本の真珠湾攻撃は明らかにそ ういった計画の中に組み込まれたものだった。
 原爆投下を指示したトルーマン大統領こそがA級戦犯として裁かれなければならな いはず。人道的に許せない犯罪的行為を行っているという点ではブッシュ政権も同じ だ。真の犯罪人はアメリカ政府を陰でコントロールする軍需産業の経営者であり大株 主かも知れない。本当の"悪魔"は目に見えないのだ。
 私は絵本スタイルで原爆投下の責任追及と悪魔は誰か、について表現した。とくに 中学生や高校生に見て読んで欲しい。そして、正しい歴史観を養うキッカケを作って もらいたいと思う。

【まえがき】

占領軍は被爆者の治療をしなかった

占領軍は被爆者の治療をしなかった

 広島・長崎にアメリカ軍が原子爆弾(原爆)を投下して、今年で60年になります。 30万人という多くの市民が犠牲になり、生き残った人びとは原爆症に悩まされ、幸い 発病しない人でさえもいつ発病するかわからない不安な毎日を過ごしています。
 当時のアメリカ大統領ハリー・S・トルーマンは原爆投下の目的について「戦争を 早く終わらせ、アメリカ兵の犠牲者を出さないことだった」と終戦直後に述べていま す。これが「原爆神話」として広く信じられてきました。しかし、これはあくまでも 建前であって本音はべつだった、つまり原爆神話にはカラクリがあったのです。実は、 原爆投下の真の目的はふたつある、といわれています。ひとつは「ソ連を威嚇する」、 ふたつ目は「人体実験」です。戦闘員ではなく市民(非戦闘員)を殺戮することは国 際法に違反しています。しかも、その目的が「人体実験」だったとすれば、人道的に みても許しがたい行為なのです。
 日本が太平洋戦争にアジア諸国を巻き込み、その結果、大きな被害をもたらした、 ということを私たち日本人は忘れてはなりません。しかし、一方でトルーマンの原爆 投下の戦争責任を問う声がアメリカ政府によって抹殺されたことも知るべきではない でしょうか。太平洋戦争のアメリカ軍極東総司令官、ダグラス・マッカーサー元帥で さえ「侵略戦争ではなく自衛のためだった」と戦後、1951年5月3日、上院軍事外交委 員会の演説のなかで語っています。
 「真珠湾を攻撃した日本が悪い。原爆を落とされても仕方ない」という考え方がま かり通っていますが、はたしてこれは正しいのでしょうか? そもそもアメリカは日 本をはじめアジアを武力によって侵略する「オレンジ計画」を練っていたのです。日 本を経済的に困らせて戦争を起こさざるをえないように仕向けたのがフランクリン・ D・ルーズベルト大統領時代のアメリカだったのです。
占領軍は被爆者の治療をしなかった

非戦闘員(市民)を殺すことは
国際法に違反する!
 悪者は誰?
 本当の「悪魔」は誰?
 いまこそ、私たちは冷静に判断しなくてはなりません。
 ジョージ・W・ブッシュ大統領は地下核実験再開や新型小型核兵器の早期開発の必 要性を言明するなど、核軍縮の流れに逆行する行動をとりはじめました。核弾頭ミサ イルをどこかの国に向けてぶち込むことがいよいよ現実の話になってきた、といって もけっしていいすぎではありません。放射能により地球環境まで破壊する残酷な核兵 器の使用はもちろん、それを所有することも禁止すべきなのです。
 この本は将来のある若者、とくに中学生、高校生のみなさんに見て、読んでほしい、 と心から願ってつくりました。原爆投下による最初の被爆国である私たち日本人が積 極的に声をあげなければ誰があげることでしょう。
 いまこそ世界に向けて「広島・長崎を忘れないで!」
 そして「悪魔は誰?」と叫ぼうではありませんか。
2005年8月の原爆投下60周年をまえにして
パロディスト マッド・アマノ


MICHAEL MOORE PROJECT――映画のアイデア

NYのグラウンド・ゼロに原爆ドームのレプリカを建てよ!

 マイケル・ムーア監督に広島・長崎の原爆記録映画を作ってもらおう、という署名運動に関心を抱いた記者がわざわざ大阪から東京の私の事務所にやってきた。出身は沖縄 、まだ30代の若さだから当然、先の戦争の実体験はない。防空壕に避難したことや米戦闘機の機銃掃射の恐怖などの私の話に真剣に耳を傾けていた。

「原爆をたどる旅 それぞれの反核」

ムーア監督へ 「爆心地」実感させたい
朝日新聞05.5.26
記者 翁長忠雄

「自由の女神」は粉々に吹っ飛んでいた。後方にはきのこ雲が見える。「GROUND ZERO(爆心地) New York」。絵にはそう書かれていた。
パロディー作家のマッド・アマノさん(65)が6月に出版する絵本「リトルボーイとファットマン」の一枚だ。
絵は約30枚。パロディーの手法は容赦がない。ミレーの「落穂拾い」ときのこ雲、被爆してやけどを負ったモナリザ、原爆が落ちたホワイトハウスから逃げ出すブッシュ米大統領……。
なじみのある風景や人物を原爆と結びつけることで、核被害のむごさを実感させるのが狙いだ。絵本は核保有国の指導者やメディアに送る。
一番見せたい人がいる。ブッシュ政権を痛烈に批判した映画「華氏911」をつくったマイケル・ムーア監督だ。
《世界でただ一国、実際に核攻撃を受け、多数の犠牲者を出した国の国民として、君ら日本人こそが世界を核のない未来へ導いて行ってくれる》。ムーア監督は自著「アホの壁in USA」の序文でそう記す。
アマノさんは昨年3月、「ムーア監督に広島・長崎の原爆記録映画を作ってもらおう」と自分のホームページで呼びかけた。インパクトのある反核映画を作ってくれるだろうと考えたからだ。
□ ■ □
東京で生まれ育った。太平洋戦争末期、空襲警報は決まって夕飯時だった。庭先の防空壕に防空ずきんをかぶって母と2人で潜んだ。真っ暗。土のにおい。墓の中にいるような気分だった。
反骨精神は父譲りだ。関東大震災で両親を亡くした父は、東京大空襲でも死体があふれる町を目の当たりにした。戦争を忌み嫌い、権威を疑ってみる人だった。
78年から10年間暮らしたロサンゼルスで、アマノさんは原爆投下後の写真集の英語版を普及する活動を手伝った。手にしたアメリカ人は涙をした。反戦運動に熱心だった女優ジェーン・フォンダさんに原爆記録映画の英語版ナレーションを頼んだこともある。
だが、原爆被害に関心を寄せる人はほんの一部。近所の人を招いた天ぷらパーティーでも、仲良くなったベトナム帰還兵は「原爆1発落としたお陰で戦争が早く終わった」と自然に語った。
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1月、スマトラ島沖地震の被災地、インドネシア・アチェをパウエル国務長官(当時)が視察した。「まるでヒロシマのようだった」。長官がブッシュ大統領にそう報告したとニュースが伝えた。
「原爆は突然、天から降ってきたのではない。落としたやつがいるのだ」。アマノさんの憤りは収まらない。
米同時多発テロ後、世界貿易センタービルの跡地を、米国人がグラウンド・ゼロと呼ぶことに認識の差を感じるアマノさんは、最近、こんな案を考えた。「本当に爆心地と思うなら、跡地に原爆ドームのレプリカを建ててみればいい」
近く、このアイデアを、ムーア監督に本とともに贈るつもりだ。
(翁長忠雄)

『リトルボーイとファットマン』
七つ森書館 B5判変形 上製 68ページ  定価 2200円+税 7月22日発売

全国の書店で注文可能。アマゾンなどのインターネットショッピング、出版社への直 接の注文も可能。
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