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フランス風刺週刊紙事件と安倍首相のパロディー弾圧2015.1.23
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 イスラム国過激派に襲撃された出版社が事件後の最新号(1月14日発売)の発行部数を何と700万部に増刷したという。通常、わずか3万部だから、これは明らかに“焼け太り”だ。
 諸外国から発売の引き合いがあり、18言語に翻訳され、25カ国で発売されるという。どうやら日本語版はないようだ。
 いわゆる“自由主義陣営”の人々は盛んに「表現の自由」を訴えるがイスラム国から見れば「冒涜」以外の何ものでもないわけで、そこには話し合いの余地は見いだされない。
 襲撃事件の背景は実は奥が深い。ヨーロッパではカトリック対イスラムの宗教的対立は100年や200年どころか1000年ほど前の十字軍遠征に遡る。 
 十字軍の遠征とは中世に西ヨーロッパのキリスト教、主にカトリック教会の諸国が、聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪還することが目的だ。
 数年前、トルコ旅行で主要な観光地を巡ったのだが、田舎町には必ずモスクがあり例のミサイルのような塔が空に向けて立っている光景をしばしば目にした。ところが、カトリックの教会は全くと言っていいほど存在しなかった。現在でもトルコはキリスト教を拒んでいる証拠ではないのか。
 トルコと言えば15世紀から18世紀に至る歴史を誇るオスマン帝国を抜きにして語れない。オスマン帝国のかつての領土から生まれた現在の国家は、30カ国を超える。今日まさに紛争の絶えない中東・バルカン・黒海沿岸の国々だ。イスラム国による日本人人質事件の解決のため、日本政府はトルコに仲介を頼んでいる。これを見ても、いかにトルコが中東において絶大な影響力があるかが想像できる。
 1月11日、犠牲者を追悼する大規模なデモ行進がフランス、ヨーロッパ各地で開催され、パリでは50人近い各国首脳たちも参加した。日本は安倍首相の代理として駐仏大使が参加した。安倍首相はオランド大統領に対し「卑劣なテロは、いかなる理由でも許されず、断固として非難する。日本政府と日本国民を
代表して、すべての犠牲者とその家族に心から哀悼の意を表するとともに、負傷者の方々に心からお見舞いを申し上げる。」とするメッセージを送った。ここで注目すべきことは肝心の週刊紙の名前を言葉に出さなかったことだ。安倍首相は自らが風刺のターゲットになることを恐れているからだ。
 安倍首相(当時・幹事長)は2004年7月の参院選の際に自民党の選挙用ポスターを茶化した私に対して恫喝とも思える内容証明つき「通告書」を顧問弁護士の連名で送りつけてきた。参院選に、立候補していた、みどりの党代表の中村敦夫氏に対しても同様に送りつけてきた。私の作品をブログに掲載していることに対する抗議と削除を求めるものだった。私と中村氏は同意せず、共同記者会見を開いて安倍幹事長宛に声明文と通告書を送ったことを話した。その後、安倍幹事長からの行動はなく、現在に至っている。訴訟こそ起こさなかったが、弁護士との連名で“訴訟も辞さない”といった脅しの行動を法曹界では「恫喝訴訟(SLAPP)という。
 私の風刺作品は自民党のポスター「この国を想い この国を創る」という小泉首相の毛筆に首相の上半身の写真つきを「あの米国を想い この属国を創る」と添削して差し上げたものだ。
 安倍幹事長は名誉毀損と著作権侵害だ、と主張するが法律の専門家は「違法とは言い難い。訴訟は無理がある」との見解だった。
 安倍首相はパロディー弾圧を陰に陽に押し進めている。



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